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心療内科・精神科のお薬2

お薬のお話、No.2です。

前回はマイナートランキライザーのお話でした。マイナーがあるのならメジャーもあるというワケで、今回はメジャートランキライザーのお話です。

マイナートランキライザーは、気分をリラックスさせて不安や緊張を和らげるお薬でした。メジャートランキライザーは、抗精神病薬とも呼ばれ、簡単に言うと、興奮を沈め、幻覚妄想を改善するお薬です。マイナートランキライザーより鎮静効果が高いので、不眠でも眠りが浅い場合や、イライラしていてもたってもいられないような場合にも使用します。

メジャートランキライザー抗精神病薬)は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の二つのタイプに分けられます。

※ 定型抗精神病薬は、古くから使用されているもので鎮静効果が高いのですが、パーキンソン病のような副作用(錐体外路症状EPS)が起きやすく副作用止めの薬の併用が必要になるという問題点があります。このお薬はさらにフェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンザミド系に分けられます。

・フェノチアジン系:鎮静効果と催眠呼応かが強い。コントミンヒルナミンフルメジンなど。

・ブチロフェノン系:幻覚妄想に対する作用が強い。鎮静効果はフェノチアジン系より弱い。セレネースインプロメン、プロピタンなど。

・ベンザミド系:容量によって抗うつ剤として使われるものもある。薬剤によって性格が異なる。ドグマチールバルネチール、グラマリールなど。

 ※ 非定型抗精神病薬は、EPSが少なく副作用止めの併用が必要ないことが多く、過剰な鎮静作用が少なく抗うつ効果も期待できるという利点があります。この薬にもいくつかタイプがあって、中には血糖値を上げたり体重が増えるなどの副作用があるものもあります。セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)、多元受容体作用抗精神病約(MARTA)、ドパミン受容体部分作動薬の3種類があります。

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):抗精神病作用に優れ、副作用が少ない。(と、されていますが、このタイプの薬にも数種類のお薬があり、これまで処方して賦活作用のせいか過敏さが増して落ち着かなくなるということを経験したため私はあまり処方しないものもあります) リスパダールルーラン、ロナセン。

・多元受容体作用抗精神病約(MARTA):多くの受容体に作用することで効果発現するお薬。他のお薬が効かない時も効いたりする。EPSは少ないが、体重増加や血糖値を上げることが多いので注意は必要。ジプレキサセロクエル、クロザリル。

・ドパミン受容体部分作動薬:鎮静効果は弱く、副作用少ない。エビリファイ

効果が高く、副作用がない、という夢のようなお薬は存在せず、どのお薬も一長一短あり、症状に応じて使い分けをしているのが現状です。現在は、統合失調症など幻覚妄想が症状の主体となる疾患には非定型抗精神病薬を第一選択薬とすることが一般的です。お薬の本には適応が統合失調症しかないものがほとんどですが、実際はうつ病躁鬱病などの気分障害、パニックや恐怖症などの不安障害、不眠、高齢者の方のせん妄などにも処方します。

副作用は以上のように安定剤に特有のものから、肝機能障害やアレルギーなどどの薬でも見られるものがあります。数ヶ月続けて服薬する場合には、自覚症状がなくても血液検査で副作用のチェックをする必要があります。お薬によっては一般的な健診では調べない項目が必要なものもあります。検査項目など疑問があれば遠慮なくして下さいね。