そらクリニック外苑前のブログ *こころの空もよう*南青山の予約制の心療内科 女性のためのメンタルクリニック 女医 女性専門

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ともだち、幸せのあり方

患者様の診察の際、生活歴をお聞きするときに「お友達関係はいかがでしたか?交友関係は広いですか?それとも友人は少ないけれどじっくり長く、というタイプですか?」と聞くことがあります。
患者様の性格傾向などを知るためのものですが、自分で質問しておきながら「こんな質問を自分がされたら答えに困るな」と思います。
そもそも友達って何でしょう。
人それぞれその感覚は違います。知り合いと友達の違いは?

考えても明確な答えは出ません。

私の考える友達は、共通の時間を過ごした経験があり、また会いたいをいう思いを持ち続けている方たちかな。共通の時間に関しては長さはそれぞれ何年にも渡る場合もあればほんの数時間かもしれませんが、一緒に過ごしたことが好ましい記憶に残っている方たち。。。
その多くは学生のころ同じサークル活動をしたり、遊んだり悩み事を相談したり経験を供にした方たちです。変化のある時期に一緒に成長したという共通の体験が友情という感覚に結びついている気がします。
楽しかった思い出と、悲しい経験をした時に助けてもらった感謝の気持ちが懐かしい感情と一緒に「また会いたい」という気持ちに繋がっています。

大人になって仕事をするようになってからの友人は、学生時代のような一体感はなかなか持てません。お互いのテリトリーがはっきりしていて、踏み込んでもらいたくない事もいつの間にかできていきます。仕事をスムーズに行うことが最優先なため、プライベートな問題を相談してくる方を少し鬱陶しく感じることもあります。そんな中でも気の合う数人の友人とはお付合いが続いています。精神科医の仕事仲間は、とても貴重な存在です。仕事の相談もできるし、我々の仕事の共通言語で話ができるのです。精神科医の友人の全てがそうではありませんが、お互いに聴きのプロですから、何かあった時には頼りになります。
職場より、趣味の場で知り合った方たちの方が友人関係が長続きする印象もあります。やはり楽しいことの共有なので、お互いの印象も良くなるし、趣味が長続きすれば付合いも長続きするのです。そしてその付合いでもプライベートな悩み事を相談し合うということもあまりしません。軽く状況を伝える事はあっても深刻な相談をすることは少ないです。
これは大人になったということなのかなと思います。学生時代の友人に久しぶりに会っても、以前のように悩み事の相談をして一緒に泣いたり笑ったりするような事はありません。お互いの人生の応援者として来し方行く末も見守る感じです。

若い頃は友人と自分を比較して羨んだり卑屈になったりすることもありましたが、気がついたらそういう感情はどこかにいなくなりました。周りの方が幸せになっている話を聞くと素直に嬉しいと感じるようになりました。これも年を取ったって事だなと思っています。
欲しい物を手に入れることより、心が穏やかに満たされていることが幸せだと感じるようになりました。欲しい物は人それぞれ違うので、他の人と比較してもしょうがないし、自分の手の中にあるものを大事にして感謝の気持ちを持てることが幸せなのかなと。
それでももっと幸せになりたいという欲はあります。でも誰かに幸せにしてもらいたいという気持ちはなく、どんな自分だったら幸せか、その自分になるためには何ができるかと考えています。まだできることはたくさんありそうです。私のテーマは幸せの拡大なので、私に関わる方たちも幸せになれればいいなと思います。