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お医者さんになったワケ3

なかなかお医者さんになった直接的理由のお話になりませんね(笑)

大学で何を勉強するか決めることは将来の職業選択に直結する大事な決断です。それを若干18歳で行わなきゃいけないことも酷なことですよね。18歳の時、ほわほわの中にも自我が目覚めそれなりに親に反抗し、大学受験は医学部を受けず夢の延長線で天文関連の物理学部を受験しました。天文学科のある大学は限られていて超難関の大学ばかりでした。で、敢えなく撃沈。・・・今思えば落ちて良かったです。私は学者タイプではないので天文学者にはなれなかったし何より私は前述のように”ただ星を見る人”になりたかったのです。現役の時の大学受験失敗で憑き物が落ちて冷静に将来のことを考える事ができるようになりました。職業選択として医師を選ぶこと、その時に自分が興味が持てることは何かと考え、心について考える人になりたいと思いました。医学部受験を決めた時から私は心の専門家になる事を決めていました。

その2で私の思春期の話をして伝えたかったのは、精神科医をしている私でも心の危機を感じたことがあったということです。その時助けが欲しいと思ったこと、でも結局は自分が成長することでその問題に対処できたということです。

私は自分の生活の中で心を動かし友人を得、自分の感覚に正面から向き合い悩みを受入れる事でどうにか切り抜けましたが、その時はそれが永遠に続く底なし沼のような苦しみだと思っていました。思春期という特殊な時期の心性のせいでもあるのですが。

私は思春期を専門としているワケではないし、大人を主に診ていますが、大人でどんなに健康な方でも心のつまづきが生じることってあると思います。そういう時に辛い時間を乗り越えるお手伝いをしたいというのが私の精神科医を目指した動機になっていると思います。心に闇を抱え苦しんでいる時に心のあり方を整理するお手伝い、つらい心をただ押さえ込むのではなく悲しかったり怖かったりする思いを許し受入れる場の提供とでもいいましょうか。

これは時間と労力がかかるので現実的にはきれい事では済まされませんが、大人の場合、それまでの人生が豊かであればつまづく事はあっても必ず乗り越えられると考えています。人のこころは自分の赴きたい方向に向かいますので、豊かでありたい方は豊かな方向を自ずと選ぶものです。時間がかかるかもしれませんが、豊か(物質的な意味じゃありませんよ)で暖かい心は戻ってきます。と言っても、一点の曇りもないものはありえません。経験した事は消えませんので。暖かい心の中にもぽっかり空いた穴が見えます。その穴も慈しみながら生きて行きたいと感じられると思います。

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