そらクリニック外苑前のブログ *こころの空もよう*南青山の予約制の心療内科 女性のためのメンタルクリニック 女医 女性専門

女医による女性のための心療内科・精神科そらクリニック外苑前のブログ。東京都港区南青山、青山一丁目、渋谷、新宿からも近いです。

妊娠中のお薬、どうします?

お薬のお話シリーズ番外編です。

お薬は安定剤に限らず、妊娠した場合の危険(催奇形性と呼ばれる奇形をおこす可能性がある)が伴います。安定剤だから危険ということではなく、痛み止めや量によってはビタミン剤も妊娠中は服薬しない方が良いお薬があります。

妊娠中のお薬をどうしたら良いか困ってしまう場合、東京ですと虎ノ門病院の産婦人科が妊娠と薬の相談を予約制で行っています。虎ノ門病院では、評価基準を5段階に分けていて、抗不安薬、睡眠薬は殆どの薬が催奇形性の5段階評価(最も催奇形性の高いものが5)の4です。抗てんかん薬の一部は5のものもあります。

治療上危険性より投与した方が有益である時のみ投与すべきとされるお薬が殆どで、次に投与しないことが望ましいとされ、いくつかは投与しないこと(禁忌)とされているお薬も数種類あります。

そしてこの危険性は妊娠期間によって変わります。薬の影響が特に心配されるのは、受精卵が活発に細胞分裂をして身体のいろいろな器官ができてくる時期です。具体的には妊娠4週から7週末までの時期にあたり、お薬の影響が最も敏感に現れます。この時期は先ほどの5段階評価の3にあたるお薬でも警戒レベルで、薬を服用していない場合に奇形が起こる可能性を1%とすると2〜3%程度になるかも知れないと言われています。できれば、この時期はどのお薬も飲まないことが望ましいと私は考えています。薬の影響でなくても生まれてきた赤ちゃんに何らかの障害はあった場合、「あの時私が薬を飲んだせいかもしれない」とずっと後悔する原因を作らないほうがよいと考えるからです。

妊娠4週というのは、生理の予定日から一週間を指しています。一週間くらい生理が遅れることが多い方ですとこの時期に妊娠に気づかない事もあると思います。妊娠して子宮に受精卵が着床するとヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が増えていくのですが、妊娠検査薬は妊娠3週では陽性に出ないことが多いです。一般的な市販の検査薬は生理予定日から一週間後、ようするに妊娠5週になってから検査できるタイプです。これはhCGの感度によるものですので、検査薬によっては妊娠4週から検査できるものもあるようです。

生理が遅れていて妊娠に気づいた時には4週目、5週目に入っているということになり、お薬の影響が出やすい時期に入ってしまっていることになるので注意が必要です。

妊娠を望む時は普段から基礎体温をつけていくことで排卵日を知る事ができ、高温期が延長していれば早めに妊娠に気づく事ができます。高温期の延長で既に妊娠4週、ですが、この時期に早めにお薬を中止すれば胎児への影響は少ないと考えます。

妊娠3週までのお薬の影響はどうなの?と不安に思う方もいらっしゃると思います。卵子に何らかの影響があっても元々健康でない卵子は受精できないか受精したとしても育つことができないと考えられています。ですから受精して着床して育つ卵子は健康だと考えて良いと思います。

まとめます。

普段から基礎体温をつけて自分の身体の状態を把握しましょう。

妊娠は計画的に。妊娠を早くキャッチしてお薬をどうするかは、あらかじめ主治医と相談しておくとよいと思います。

個々のお薬の危険性については、ご相談いただければ診察時に説明いたします。