そらクリニック外苑前のブログ *こころの空もよう*南青山の予約制の心療内科 女性のためのメンタルクリニック 女医 女性専門

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藤色

今朝、自宅近くのお庭の素敵なお宅で藤の花が咲き始めていました。
梅、桃、枝垂れ桜と春の花たちが次々に開いて季節の移り変わりを感じさせてくれる素敵なお庭です。白からピンク系の花の色のあと、この藤の花の色は違ったトーンで目に映り、一気に季節が進んだ気持ちになります。
藤の花を見ると思い出すことがあります。
以前受け持っていた患者様のことです。
90才近い方で、紬の着物をきちんと着てべっ甲の帯飾りなどされておしゃれさんでした。その方が眠れないとおっしゃって受診されたのですが、これまで飲んでいたお薬の説明をされる時に、「楕円形の銀紙に包まったお薬で」とおっしゃったので、私は「はい、ブルーのお薬ですね」と返しました。すると「いえ、ブルーではないです。藤色です。」とおっしゃったのです。
私は、単なる青でなく、「藤色」とおっしゃったその患者様のその感性に敬服まして、ブルーと言ってしまった自分が恥ずかしくなりました。
日本人は、いろいろな色を知っているのです。
山吹色も単なる黄色ではありません。
さくら色は確かに他に表現ができません。
何気ないことですが、この感覚は大事にしたいと思います。木々の葉を見ても春の葉の色は単なる緑ではなく新緑です。初夏の葉の色ともまた違う。柔らかそうで葉脈が透けて見える。ほわほわの産毛のようだなと思います。葉っぱにも愛おしさを感じます。
私が目の前のことでいっぱいいっぱいになってる事に気づかせてくれる自然からのメッセージです。そして、今はもう会う事はできなくなった方ですが、藤の花を見ると素敵な紬の着物姿を思い出します。

藤色のお薬、ハルシオン0.25mgは、よく効くお薬ですが依存性も高く、私は気軽に処方しません。ただたまーに眠れなくてどうしようもない時に使うのには良いお薬です。高齢者の方も翌朝への持ち越しが少ないので良いのですが、定期的に継続して服用される場合にはお勧めしません。内科の先生など気軽に処方されていて、ハルシオンがないと困るとおっしゃる患者様も多いので、念のためここで注意をしておきます。
ハルシオンを処方されたら、処方箋以上に勝手に増やすことは止めましょう。
できれば、継続して服用はしないようにしましょう。