そらクリニック外苑前のブログ *こころの空もよう*南青山の予約制の心療内科 女性のためのメンタルクリニック 女医 女性専門

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コミュニケーションツールの変化

人々の通信手段が変わって電話からメール、SNSが主体になって精神症状の訴えにも変化が来ていると感じます。

以前は妄想の訴えは固定電話やテレビなどに関するものが多かったのですが、最近は携帯電話やSNS上のやり取りになっているようです。我々医師も新しいツールを知らないと患者様達の訴えの詳細が理解できなくなりそう。

詳しい症状はプライバシー保護のためにも書けませんが、SNSは不特定多数の人が投稿を見ることもできるため本人の予想を超えたトラブルに発展することもあるようです。悩ましいです。

自分の手の中にある携帯電話、気楽に持ち歩くタブレット、自宅の机の上にあるパソコンなどパーソナルな持ち物は自分の思考を投影するツールになっています。テレビなどの片側通行のメディアに比べてネット上での関わりは、個人対個人のようで社会と繋がっています。見たいものを見て関わりたい人と関わる個人の好みや趣向というバイアスがかかった世界だから、そこに展開されることは若干偏りのあるかもしれない自分目線の世界が広がっています。見たい情報だけ見るという選択を無意識にしているので自分が偏っても気づかない状態のまま思考を深めてしまって周囲とズレた行動をして、友人ばかりでなく友人の友人までを驚かせてしまったりします。そうなるとパーソナルな出来事が社会の中にぽんっと投げ出されたみたいになって大事に発展することもあるわけです。やっかいです。

もちろん、物事の客観性を保てる場合はトラブルに発展することはないので、SNSでの人間関係は表面的でありながら礼節を保ち穏やかで楽しいものになります。

ネットというツールの無限に広がってしまう感じに不安が生じて、過剰にプライバシー流出を警戒することもあります。使う前から起き得る最悪のことを想像して恐がる。もちろん自分自身にツールを使うモチベーションがなければ使う必要なんてないのですが、使わなければその価値もわからないものなのでただ警戒するというのはあまり健康なことではないと思います。

インターネットがなかった時代は、自分が物理的に移動してどこかにいかないと新しく誰かと知うことは難しかったと思います。昨今は掲示板で同じ趣味趣向の方と知りあったり、ツイッターで、よりオープンなコミュニケーションをしたりして知人が増えていく環境を選べるようになりました。顔が見えなくてもその場で対応していくことで人となりが伝わり気の合う人たちが自然に集うようになります。同じSNSでもfacebookの閉じた集団でのやり取りとは違う広がりがあって面白い。これを過剰に警戒してしまうのは、やはりいわゆるリアルな生活でも対人関係に過敏になりがちな方の傾向だと感じています。今やSNSでの交流はバーチャルとは言えない。ニューヴァージョンリアルと言ったところでしょうか。

これから先もコミュニケーションのあり方は変化があるでしょう。私も患者様の理解のためにおばあちゃんになっても新しモノ好きでいたいです。