先日、京都に遊びに行って朝食をとった喫茶店のトイレで目にしたもの。
こういう時って相田みつおさんの詩などを目にする事が多いのですが、そこには吉野弘さんの「祝婚歌」が。
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは,長持ちしないことだと
気づいているほうがいい完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいいそしてなぜ 胸が熱くなるのか
黙っていてもふたりには
わかるのであってほしい
なんとなく読んでいて妙に納得してしまいました。
結婚する二人に贈る言葉なのでしょうけれど、これっていろんな場面で役立つのではないかしら。得に”正しいことを言うときは”など私自身も身につまされる気持ちになりました。
子供の頃、ちょっとした計算間違いなど指摘したことで友人が怒ってしまってどうして怒るかさっぱりわからず困ったことがありました。母から「正しければいいというわけではないのよ」と言われてそんなこともあるのかと不思議な気持ちになりました。成長してからはその友人の気持ちも想像できるようになりましたが。
これって仕事の場面でもありますよね。
夫婦に限らずいろいろな人間関係でも同じです。
この喫茶店は年配のご夫婦が二人で経営されているようで、お二人の阿吽の呼吸がこの詩のように合っているように感じました。ちょっとゆるいその雰囲気も含めて。私もゆったりゆたかにちょっとふざけていたいなと思いました。