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心療内科・精神科のお薬4

今回は、以前は躁うつ病と呼ばれていた双極性障害のお薬の話です。

双極性障害は、落ち込んでやる気がなくなったり実際動くことができなくなったりするうつ状態と、元気があり過ぎて気が大きくなって活動的になり過ぎたり興奮したりする躁状態の両方が見られる疾患のことです。

躁状態の時は、気分が良いので自分では病気のせいとは感じにくいことも多く、うつ状態の時に病院を受診されることが多いです。そのため、躁状態の存在がわかりにくい方が多く、診断が少し難しい場合があります。診断されても躁状態を自覚されていないのでうつ状態の治療には積極的でも躁状態の治療を理解されない方も多いです。しかし、何度か繰り返されているうちにだんだんご自身でも気分の波に気がついていくという経過を取る印象があります。

このような場合には、気分安定薬と呼ばれる気分の波を小さくするお薬が有効です。

・ 炭酸リチウム

ネットを調べると躁状態のお薬という説明が出てくると思います。実際保険適応は躁病、躁うつ病躁状態ということになっています。でも我々が良く使う今日の治療薬という本を見ると、適応病名と同時に特徴は抗うつ作用や双極性障害の再発予防、治療抵抗性うつ病にも効果となっていて躁状態にのみ使われるわけではありません。

炭酸リチウムは効いてくるまでに時間がかかるので、躁状態の場合は気分安定薬抗精神病薬を併用します。うつ状態の時は抗うつ薬を併用する事が多いです。

副作用としては、手の震え、だるさなどがあります。リチウム中毒をおこすことがあるので定期的な血中濃度測定が必要ですが、私の臨床経験の中では、中毒が問題になったケースがありません。お薬の名前はリーマスです。

・ 抗てんかん

てんかんのお薬の中には抗うつ作用や再発予防効果があり、双極性障害の治療に使われるものがあります。炭酸リチウムよりは効果発現が早いですが、躁状態の時はこのお薬だけで鎮静させるのは難しいです。バルプロ酸デパケンバレリンなど)、カルバマゼピンテグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)が代表的なものです。

副作用は、皮疹、ふらつき、めまい、眠気、肝機能障害などがあり、薬剤によっては血中濃度の測定が必要だったり他の安定剤や抗うつ剤よりやや慎重に投与する必要があります。

日本うつ病学会が作っている、患者様向けのリーフレットがありますのでご参考にどうぞ。→こちら